滋賀県甲賀市にもあります油日神社は、平安時代以来の歴史を有する由緒ある神社です。滋賀県内でも他に見ない珍しい廻廊付きの楼門を潜ると、目に入る建物全てが中世の古建築で、その時代に包まれた雰囲気に圧倒されます。近年、映画やテレビドラマのロケ地として注目を集める油日神社の歴史とその魅力をご紹介しましょう。
それでは、油日神社を紹介します。
神社の概要
神社名:油日神社(あぶらひじんじゃ)
ご祭神:油日大神
ご利益:商売繁盛・出世開運・武運長久・勝運・武芸、芸事上達
旧社格:県社
滋賀県甲賀市に鎮座する「油日神社」(あぶらひじんじゃ)は、油日大神(あぶらひのおおかみ)を祀る神社で、古くから朝廷の崇敬が厚く、甲賀の総社と敬われてきました。
もとは近くにある油日岳を神体山としており、その昔、油日岳の山頂に御祭神である油日大明神が降臨し、そのときに大光明を発したので「油日」の名が付いたと伝えられています。油の火の神として庶民の信仰も広く集め、現在でも全国油業界からの信仰が厚くあります。
油日神社の創建は不詳ですが「日本三代実録」には、877年(元慶元年)に油日神の記述がある事から、平安時代には存在する古社であることが分かっています。
また、戦国時代には軍神として活躍した甲賀武士(忍者)たちがここに集い、戦略を話し合っていたともいわれています。
境内の雰囲気
のどかな田園風景が過ぎ、道の脇に石灯籠が現れたその先に油日神社の鳥居が現れます。
木造鳥居の扁額には「油日神社」と記されており、隣には「縣社 油日神社」の社号碑があります。油日神社は1906年(明治39年)県社に列格されました。
楼門から東西に延びる廻廊が印象的!!
楼門は1566年(永禄9年)に甲良五良左衛門尉によって建てられたと伝えられており、国の重要文化財となっています。
楼門・拝殿・本殿が一直線に並んで、それを廻廊が囲んでいます。
楼門をくぐり振り返って見上げると、「蟇股」(かえるまた)という、寺社建築の特徴の一つである、梁や柱を支えるカエルが足を広げたような装飾的支柱が見えます。 その蟇股の中に鳥(鳩)の彫刻があるのですが、楼門のお披露目式の際、この彫刻があまりにもリアルであったため、本物の鳩となって飛び出して行ったとの伝承があります。何度も蟇股に戻すのですが、度々飛び立ってしまうため、片方の羽をもぎ取ったところ、逃げることはなくなったといういわれています。
いかに蟇股にほどこされた鳩の彫刻が生き生きと造型されているかがうかがえますね。
楼門の裏側には、食用油の一斗缶が奉納されていました。よく見ると、すべて食用油の一斗缶ですよ。さすがは油に由来する神様を祀っている神社ですね。
社殿を取り囲むように建つ廻廊は、楼門と同じ時期に建てられました。
楼門に付属する建造物としては、社殿を4面で囲む形が一般的であるものの、こちらでは東側が五間(ごげん)、西側が六間(ろくげん)と独特な形式となっています。
*間(けん・げん):柱と柱の間の空間の数のこと。
甲賀忍者がここに集った!?拝殿
甲賀武士たちが集ったともいわれている拝殿は桃山時代に再建されたもので、こちらも国の重要文化財に指定されています。
屋根の張り出し具合はシャープな印象で、四面を囲う格子戸は優美な印象を与えます。
拝殿内部には「三十六歌仙」(平安時代の和歌の名人)の肖像が掲げられています。
重厚感あるご本殿
本殿は1493年(明応2年)室町時代に再建されたもので、こちらも国の重要文化財に指定されています。
御祭神の主祭神は油日大神で、東相殿に摂社岳神社御祭神の罔象女命(みづはのめのみこと)、西相殿に摂社白髭神社御祭神の猿田彦命(さるたひこのみこと)がお祀りされています。ご利益は油日大神が所願成就、罔象女命が日常生活守護、猿田彦命が方除授福で知られています。
本殿の脇にはご神木のコウヤマキがそびえています。樹齢は750年とされ、その大きさには圧倒されます。
鐘楼
鐘楼は江戸時代の1620年(元和6年)に山岡景以(やまおかかげもち)達によって寄進されたもので、市指定有形文化財に指定されています。
油日神社の境内社(摂社・末社)
油日神社のアクセス
神社名 | 油日神社(あぶらひじんじゃ) |
住所 | 滋賀県甲賀市甲賀町油日1042 (Googleマップ) |
営業時間 | 9:00~17:00(授与所・不在の時間帯あり) |
駐車場 | 無料駐車場あり |
最寄り駅からのアクセス | JR草津線「油日駅」下車 徒歩30分 |
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