三重県伊勢市に鎮座します神道の最高峰「伊勢神宮」は内宮と外宮に分かれており、内宮・外宮共にお参りすることにより最高のご利益を授かれると言われています。
社殿から敷地からすべてのもの規格外の大きさで、式年遷宮で20年に一度社を移すために同じスペースがすべての社の隣にあるのがレベルの違いを象徴するのではないかと思います。
伊勢神宮の正式名称は「神宮」
神宮は主に「内宮(ないくう)」「外宮(げくう)」の2つに分かれ、内宮を「皇大神宮(こうたいじんぐう)」、外宮を「豊受大神宮(とようけだいじんぐう)」と呼びます。
内宮・外宮の「正宮(しょうぐう)」を中心にさらにそこから「内宮の別宮(10所)」「下宮の別宮(4所)」「摂社(43社)」「末社(24社)」「所管社(42社)」がありすべて合わせると125社の官社があります。この125社を総称して「神宮」と言います。
伊勢神宮125社
- 正宮…内宮・外宮
- 別宮…皇大神宮10所・豊受大神宮4所
- 摂社…皇大神宮27社・豊受大神宮16社
- 末社…皇大神宮16社・豊受大神宮8社
- 所管社…皇大神宮30社・豊受大神宮4社・瀧原宮3社・伊雑宮5社
通常の神社であれば摂社・末社だけですが、神宮は別宮という「正宮に準じる格式の高いお宮」が鎮座し正宮と関係のある神様が祀られています。
125社もあればどこから参拝してよいか分からない方も多いはず・・・実際伊勢神宮といえば内宮!と言って内宮のみの参拝をされる方がほとんどですが、内宮と外宮の片方をお参りするのは「方参り」といってあまり良くないとされています。
本来の参拝順序は伊勢神宮外宮→伊勢神宮外宮「別宮」→伊勢神宮内宮→伊勢神宮内宮「別宮」がベストですが、別宮は東西に約1時間ずつ離れているので、別宮は参拝せず「外宮」→「内宮」のみの参拝で問題ありません。
ただし、「内宮」→「外宮」の参拝はNGで必ず「外宮」から「内宮」の順で参拝してください。
その理由は、
- 外宮先祭(げくうせんさい)といって神宮のお祭りが外宮から行われるから
- 外宮のご祭神「豊受大御神」は内宮のご祭神「天照大御神」の食事を司る神様である事から先に外宮からお参りし主となる内宮をお参りするから
※外宮の御饌殿(みけでん)では約1500年間毎日、朝と夕の2度「天照大御神」をはじめとする神様にお食事をお供えしています。
と言われています。
それでは伊勢神宮の外宮、「豊受大神宮」を見ていきましょう。
約1500年の歴史を誇る外宮(豊受大神宮)の由緒
内宮は約2,000年の歴史があるのに対し外宮は約1,500年の歴史があります。
外宮の創建は雄略天皇(ゆうりゃくてんのう)の夢に天照大御神が現れ「自分一人では食事が安らかにできないので、等由気大神(豊受大神)を御饌都神(みけつかみ)として呼び寄せるように」と神託しました。
この神託を受け内宮に近い「伊勢渡会郡、沼木郷、山田原」の地に豊受大御神をお祀りしたのが始まりとされています。
それ以降約1,500年「日別朝夕大御饌祭」(ひごとあさゆうおおみけさい)というお祭りが外宮の御饌殿で毎日行われ、天照大御神をはじめとする神様にお食事をお供えしています。
式年遷宮で正宮が入れ替わる『古殿地』
現在の正宮が鎮座する隣に同じ敷地面積を誇り、前回の遷宮まで社殿が鎮座していた場所です。
中央には「心御柱(しんのみはしら)」を納め、それを守る覆屋があります。
心御柱は正宮中の床下の柱で、古くから神聖なものとされています。
衣食住・産業の守り神「豊受大御神」をお祀りする『正宮』
正宮には衣食住・産業の守護神である「豊受大御神」(とようけのおおみかみ)をお祀りしています。
鳥居を超えると写真撮影は禁止となっています!
伊勢神宮の正宮(内宮・外宮)にはお賽銭箱が設置されていない
他の神社と違い伊勢神宮のご祭神がお祀りされている正宮にはお賽銭箱がありません。
これは「紙幣禁断(しへいきんだん)」と言い、神宮の正宮は天皇が幣帛を奉納し国民の平和や健康を祈願する場所としての見方があるため一般の人が金銭を奉納することが禁止されています。
お賽銭箱のかわりに白い垂れ幕があり、そこにお賽銭を投げている人もいらっしゃいますが、あれはお賽銭箱が無くてもお賽銭を投げられる方がいらっしゃるので、地面にお金が直接触れ聖域がけがれないように敷かれているものです。
白い垂れ幕にお賽銭があっても同じようにお賽銭を投げないようにしましょう!
幣帛(へいはく)…神道において神前に捧げるもの
正宮では「願い事」はせず、感謝の言葉!願い事は別宮で!
正宮では神様に日ごろの感謝の気持ちを伝えます!
2度お辞儀をし2回手を合わせ「自分の名前」「神様への感謝の気持ち」を述べます。
他の神社では本殿のご祭神に向けここでお願い事を祈願しますが、伊勢神宮では個人的なお願い事は豊受大御神の荒御魂がお祀りされている別宮の「多賀宮(たかのみや)」で祈願します。
伊勢神宮外宮境内社
多賀宮(別宮)
外宮の境内にある別宮の多賀宮(たかのみや)は外宮の四別宮の第一に位しています。
ご祭神は「豊受大御神荒御魂(とようけおおみかみあらみたま)」をお祀りしています。
ここで個人的な願い事を祈願します。
※神様の穏やかな働きを「和御魂(にぎみたま)」に対して荒々しく格別に顕著な神威を表す御魂の働きを「荒御魂(あらみたま)」と言います。
風宮(別宮)
風宮(かぜのみや)のご祭神は風雨を司る「級長津彦命」(しなつひこのみこと)と「級長戸辺命」(しなとべのみこと)の2柱をお祀りしています。
雨と風は農作物に大きな影響を与えるので神宮では正宮に準じてお祀りしています。
内宮別宮の風日祈宮(かざひのみのみや)にも同じご祭神がお祀りされており、両宮の別宮にお祀りされているご祭神は風の神だけです。
土宮(別宮)
土宮(つちのみや)のご祭神は宮域の地主神・宮川堤防の守護神である「大土乃御祖神」(おおつちのみおやのかみ)をお祀りしています。
古くから山田原の地主神でありましたが、外宮に鎮座後は宮域の地主神・宮川堤防の守護神とされています。
下御井神社(所管社)
多賀宮に向かう階段を上らずに奥に進んでいくと外宮の所管社「下御井神社」(しものみいのじんじゃ)が鎮座しています。
内部には井戸があり、「日別朝夕大御饌祭」(ひごとあさゆうおおみけさい)をはじめお祭りにお供えする御水をいただく「上御井神社」で不都合があった場合に「下御井神社」の御水をお供えします。
伊勢神宮には他の神社には必ずある『おみくじ』がない
神社と言えば『おみくじ』を引くという方も多いと思います!ましてや初詣となると今年最初の運試しで『おみくじ』は神社参拝には欠かせないアイテムですが、伊勢神宮には『おみくじ』がありません!
なぜ日本の神道トップの伊勢神宮に『おみくじ』がないのかご存じでしょうか。
元々神社にはおみくじというものが無く神道が仏教のおみくじを真似て取り入れた事がはじまりですが、おみくじというものが一般的になってからも伊勢神宮で取り入れなかったにはある理由があるからです。
- 日本の最高神である「天照大御神」がいるので吉凶を占うおみくじは必要ないから
- 伊勢神宮をお参りできること自体が幸運であり大吉なことであるから
昔の方々にとってお伊勢参りは一生に一度の「夢」であり、憧れの場所をお参りして大吉でないわけがない!という考えからおみくじを引く必要がなかった言えます。
式年遷宮の川原大祓が行われる「三ツ石」
正宮から多賀宮に向かう最中にしめ縄で結界が張られ3個の石を重ねた「三ツ石」があります。
この場所は「川原祓所(かわらのはらいしょ)」といい、式年遷宮の川原大祓が行われます。
パワースポットとして人気が集まっている場所で、手をかざしたり指を指したりする方がいらっしゃいますが、手をかざすという行為は神様に手をかざす行為に当たり失礼な行為となります。
気をつけてくださいね!
橋にかかる石が亀の形に似ている『亀石』
三ツ石から別宮に向かう途中の橋に石の橋が架けられており、その形が亀に似ている事から『亀石』と言われています。
この亀石の石は高倉山古墳の入り口にあった岩で数千年の歴史があると言われています。
笑っているように見える『地蔵石』
多賀宮に向かう手前の足元にお地蔵さんが寝て笑っているように見える『地蔵石』があります。
撫でるとご利益があるとされているパワースポットですのでスルーしないように!
伊勢神宮外宮の御朱印
伊勢神宮外宮のアクセス
- 神社名:豊受大神宮(とようけだいじんぐう)伊勢神宮外宮(いせじんぐうげくう)
- 住所:三重県伊勢市豊川町279(Googleマップ)
- 駐車場:無料駐車場あり
- アクセス:近鉄電車・JR「伊勢市駅」下車 徒歩5分
- 営業時間:年中無休
1月~4月5:00~18:00 5月~8月5:00~19:00 9月5:00~18:00 10月~12月5:00~17:00
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